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「企業型確定拠出年金に加入するメリットって一体何?」これは、よく聞かれる質問です。
ここでは、企業型確定拠出年金を導入することによるメリットについて
事業主側、加入者側それぞれの立場からポイントを解説していきたいと思います。
従業員に給与を支給する場合、その金額に対しておよそ15%の社会保険料(雇用保険・健康保険・厚生年金)負担が発生します。
しかしながら、確定拠出年金の掛金は社会保険料を計算する場合の算定対象外となるため、企業側の社会保険料負担額を軽減する効果があります。
企業が拠出する掛金は全額損金に算入されます。
つまり、拠出した掛金の金額の分、個人事業主あるいは法人としての利益を圧縮することができるので、結果として税負担の軽減、節税効果が見込まれます。
確定拠出年金は掛金を捻出、拠出した時点で企業側の負担額が確定します。
費用予測が用意になることから、10年後、20年後の従業員の退職に備えて、保険や投資商品で運用するなど、将来的な積立不足の問題に悩まされることがありません。
確定拠出年金に拠出する掛金は非課税(給与扱いにならない)となりますが、同じ金額を給与として受け取った場合は、給与所得として、所得税、住民税、そして社会保険料がかかるつまり、手取り額が目減りすることになります。
例として給与収入が年間600万円、扶養家族が配偶者、子供1人のケースで考えてみましょう。
1)毎月20,000円を給与に上乗せする場合と 2)掛金として20,000円を拠出する場合それぞれのケースで試算してみたいと思います。
1)の場合では、給与が20,000円、年間で240,000円増えますが、所得税・住民税、社会保険料が約39,800円控除され、手取り相当額は年間200,200円となります。
一方で
2)年間240,000円がそのまま個人の確定拠出年金口座に積立てられます。
比較すると差は明らかで1年で4万円弱のメリットが出ます。加えて、5年、10年、30年と継続することにより、効果はより大きな金額の差となって表れてきます。
この「掛金が非課税となる」というメリットだけでも企業型確定拠出年金に加入する充分な価値があると言えるでしょう。
日頃から投資を積極的に行っている方にとっては大きなメリットです。銀行や証券会社等を通じて、株式や投資信託、いわゆる一般的な金融消費で資産を運用して利益が出た場合、運用益に税金が20.315%かかります。
例えば、100万円でA社の株式を購入し、150万円に値上がりしたので売却して50万円の利益を得ても、この50万円に約20%の課税がされるということです。
しかし、確定拠出年金の運用によって出た利益には一切税金がかかりません。複利効果(利息が利息を生む)が最大限発揮されますので、これを活用しない手はないでしょう。
年金資産の受け取り方は3通りあります。1つは一時金として一括でもらう方法。2つ目は年金として定められた期間に分割して貰う方法。3つめは年金と一時金を組み合わせて貰う方法です。(株式会社マウンティンが導入する『総合経営サービス基金』では1か2、どちらかの選択となります)
一括でもらう場合は、退職所得控除、年金として受給する場合には、公的年金等控除といういわゆる所得控除が活用できます。
所得控除とは、一定の要件にあてはまる場合に所得の合計金額から一定の金額を差し引く制度のことです。長年に渡って積立てた掛金も、もらうときに多額の課税がされてしまっては、元も子もありません。
しかし、退職所得控除や公的年金等控除が適用されることんより、受給時に少ない納税額(状況によっては税額0円)で手元に多くの老後資金を残すことができます。
ポータビリティと呼ばれます。ポータビリティとは、転職、退職の際に、これまで積立てた自分自身の年金資産を次の会社の企業年金制度やiDeCo(個人型確定拠出年金)に移せる仕組みのことです。
一般的には、退職金制度のある会社に勤めていた場合、退職時に退職金を一時金で受け取ると退職金制度はその時点で終了となります。 定年退職であれば、直近の老後の資産が受け取れるということになりますので、安心材料になりますが、30代、40代で一時金を受け取ったとしてもその資金を老後まで蓄えておく、ということは相当の意志がない限り、難しいでしょう。
しかし、近年では転職や独立して起業することも珍しくありません。転職時に退職金を清算し、 勤続期間が長くなるほど有利な「退職所得控除」を短い勤続年数で使って一時金で受け取ってしまうのは、老後資金の準備としては大変不利となります。
ポータビリティ制度は、この勤続年数の連続性を担保する仕組みです。 確定拠出年金を含め、様々な制度間を課税されることなく持ち運ぶことが可能で、かつ積立を続けることで退職所得控除の算定基礎になる勤続年数も通算されます。 この「課税されずに持ち運べ、掛金を積み立てた期間は勤続年数として通算される」がポータビリティ制度の大きなメリットです。 転職による退職金の税務上の不利をなくし、着実に老後の資金を準備することが可能です。
確定拠出年金は、確定拠出年金法第32条において、「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえる場合は、この限りでない。」と定められています。このことから年金資産は保全されます。
万が一、加入者ご自身が自己破産をすることがあっても、確定拠出年金は破産手続で債権者に取られることはなく、60歳以降に受給することが可能です。
このことは、加入者が従業員である場合はもちろん、中小企業の経営者等が、会社破綻により自己破産をしても、最低限の老後資金を保全することが可能です。
以上、企業型確定拠出年金に加入するメリットについて見てきました。
新型コロナウイルスの影響が続き、経済情勢がますます厳しくなっていく中で、従業員を長期安定的に雇用できる企業も少なくなりつつあります。働く労働者にとっても1つの会社に長く勤続することが難しくなってきているのではないでしょうか。
このような労働環境では、退職金や老後の資産も自分自身の責任で準備する必要があります。確定拠出年金の持つメリットはまさにこうしたニーズに合致したものと言えるでしょう。
企業型確定拠出年金の導入をご検討中の方、もしくは詳細にご興味のある方はお気軽にご相談ください。
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