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『確定拠出年金のメリットは充分にわかりました。デメリットを遥かに上回るメリットがあることも理解できました。是非、加入したいと思います。
でも、、、、加入した場合、どのような商品を選択したらいいのでしょうか?』
企業型確定拠出年金導入時、従業員説明会の講師させていただくと必ず聞かれる質問です。
ここでは、この商品を選択するにあたって大切な知識となる確定拠出年金の商品の種類とその選択方法について説明します。
確定拠出年金では企業型、個人型(iDeCo)に関係なく、金融機関の運用商品には元本確保型と元本変動型の2つの区分の商品が用意されています。
→企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金の違いについてはコチラ
元本確保型というのは、文字通り、拠出した掛金の元本が確保されるタイプをいいます。元本変動型の投資信託と異なり、元本割れするリスクがありません。そのため、今まで投資をしたことがない、投資初心者にとっては選びやすい特長があります。
一方で、運用益はほとんど期待できない、というデメリットもあります。確定拠出年金の制度を利用することのメリットの1つに運用益が非課税、という特長がありますので、元本確保型で運用した場合、このメリットを充分に活用できないことになります。。
具体的な商品としては、定期預金と保険商品があります。
定期預金は、基本的に約束の期日(満期日)までお金を預け、その日を迎えたら預入時に約束した利息(約定利率)を受け取る仕組みの金融商品です。一般的には、半年~5年の期間が設定されているものが多くなっています。満期になると、元本と利息の合計額を新たな元本として、満期日時点の金利で同じ期間自動的に預け入れを繰り返していくのも特徴です。満期までの期間が長いほど、利率が高い傾向にあります。
期日より前に解約すると、預金利率が約定利率より下がります。(確定拠出年金の資産は原則60歳まで引き出すことができませんが、解約してその資金で他の商品を購入することができます。)
銀行などの金融機関には、経営破たんした場合に保障される元本は1,000万円までという規定があります(ペイオフ)。すでに多額の資金を預けている金融機関で、新たにiDeCoで定期預金を利用する場合は注意が必要です。
保険には、「生命保険」や「損害保険」などがあり、満期を迎えると、元本と利息以外に商品によっては配当金が支払われるものもあります。
保険商品を選択する場合の注意点として、保険という商品の特性上、中途解約(スイッチング)をした場合は、「解約控除」等が差し引かれ、払い戻し金額が元本を下回る場合があります。生命保険の場合は、生命保険契約者保護機構 損害保険の場合は損害保険契約者保護機構により責任準備金の90%が保護されます。
元本変動型は、積立てた元本が運用成績によって変動します。元本変動型の商品として「投資信託」があります。
運用成績に応じて値上がりして資産が増えることもあれば、値下がりして資産が元本割れしてしまうこともあります。これが元本確保型と比較したときの大きなメリットでもあり、デメリットになります。
※投資信託とは・・・たくさんの投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家である運用会社が国内外の株式や債券などに分散投資・運用し、その運用成果を投資家に分配する商品のことです。少額の資金から投資ができるということ、多くの株式や債券に分散して投資することができるため、リスクが抑えられるというメリットがあります。
実際に確定拠出年金に加入したとき、選択できる商品が多すぎて驚くことも多いでしょう。
(平成30年5月1日時点で、商品数の上限は35本となっています。)
商品選択で迷った場合、分散投資をするのが基本です。例えば定期預金に30%、投資信託Aに30%、投資信託Bに40%というように、掛金を振り分けることで、元本割れリスク分散することができます。商品の選択や比率の設定は、個別に開設されるネット上の個人ページにおいて選択することが可能です。
一度商品を選択したとしても、運用商品や投資比率については見直すことができますので、一回選んだからと言って受給時点まで継続する必要はありません。
投資信託についての記載は後日に譲るとしまして、ここでは商品を選ぶ際に注意していただきたいポイントを書きます。
1に手数料、2に手数料、3に手数料。兎にも角にもこれに尽きます。
投資信託を購入したときの手数料というのは大きく3つです。1つめが購入時手数料、2つ目が信託報酬、3つ目が信託財産留保額です。
1つめの購入時手数料は読んで字のごとく、その商品を購入するときの手数料です。現在、ほとんどの確定拠出年金では購入手数料が無料(いわゆるノーロード)が多くなっています。
2つめの信託報酬、これは運用管理費用とも言われますが、商品を保有し続けることによって間接的に負担することになります。
内容としては投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用のことです。
ただし、別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して何%」といった形で毎日差し引かれます。
投資信託の種類によって信託報酬は異なりますが、一般的に特定の指数への連動を目指すインデックスファンドのほうが、ファンドマネージャーの手腕が問われるアクティブファンドより信託報酬が低い傾向があります。
年率にするとたかが、0.××%の差と思われるかもしれませんが、確定拠出年金のように長期的な投資の場合、このわずかな信託報酬率の違いが大きな違いになってきます。
例として、毎月1万円を積立てた場合の信託報酬累計額の比較表を御覧ください。
5年 | 10年 | 20年 | 30年 | |
累計投資金額 | 60万円 | 120万円 | 240万円 | 360万円 |
信託報酬 年率0.2% | 3,050円 | 12,100円 | 48,200円 | 108,300円 |
信託報酬 年率0.5% | 7,625円 | 30,250円 | 120,500円 | 270,750円 |
5年、10年では僅かな差であった長期になればなるほど、金額ベースで大きな違いとなっていることが一目瞭然です。
3つめの信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に、投資家が支払う費用のことです。別途支払うわけではなく基準価額に対して何%という形で解約時の代金から差し引かれます。投資信託の種類によって差し引かれる金額は異なりますが、信託財産留保額を設定していない商品も多くあります。
以上、元本変動型である投資信託を購入する際には3つのコストがあることを説明しました。老後資産の形成、という確定拠出年金本来の目的を考えると、短期間で売買することはあまり得策ではなく、長期的に保有することが理想です。
その際に、手数料というコストは必ずチェックしていただきたいポイントです。手数料の確認は各々の投資信託の目論見書(もくろみしょ)に細かく記載されていますが、確定拠出年金では個人サイトで運用商品一覧が確認できます。一覧表ではこれまでの大まかでもそこで確認するようにしましょう。
企業型確定拠出年金の導入をご検討中の方、もしくは詳細にご興味のある方はお気軽にご相談ください。
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