世界株式インデックスファンドでは着実な経済成長に期待

世界株式インデックスファンドでは着実な経済成長に期待

1.投資信託の資金流入額は2007年8月以来の高水準

QUICK資産運用研究所によりますと、2024年1月の公募投資信託の資金流入額は1兆2,794億円と2007年8月(1兆4,874億円)以来の高水準となりました。

2024年から新しいNISA制度が開始されたことが追い風となり、資金流入が加速しました。

投資信託別の資金流入ラインキングを確認すると、第1位は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、第2位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」となりました。

この2本の資金流入額は他の投資信託と比べて突出しており、双方とも月間ベースで過去最高の資金流入額となりました。

また上位10本のうち9本が「世界株式型」「米国株式型」で運用する商品となったほか、6本が特定の市場指数(ベンチマーク)の動向に連動するインデックスファンドとなりました。

ベンチマークとは投資成果の評価・比較をするための運用指標の基準となり、国内では日経平均株価やTOPIX、米国ではS&P500指数などを指します。

ベンチマークを上回る高い運用成果を目指すアクティブファンドと比べ、インデックスファンドは信託報酬(投資信託の運用・管理に係るコスト)が低い傾向にあります。

市場関係者によると、「商品性のわかりやすさ」「信託報酬の低さ」が投資初心者や若い世代など多くの投資家に支持され、特に上位2本の投資信託で運用する人が増加したとの見方がなされています。

米国株式インデックスファンドの特徴については、他の記事を参考にしてください。

今回は世界株式インデックスファンドの特徴について説明します。

2.全世界の株式に分散投資が可能

世界株式インデックスファンドの特徴としては、先進国や新興国など全世界の株式に分散投資をすることができます。

様々な国や地域に分散投資をすることで、特定の地域や国の経済動向に左右されるリスクが軽減されます。

「eMAXIS Slim 全世界株式」は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをベンチマークとしています。

同指数は米国の金融サービス会社MSCIが提供している株価指数となり、世界株式投資のベンチマークとして用いられています。

先進国23カ国と新興国24カ国の約3,000銘柄に投資しており、投資が可能な世界の上場株式の約85%をカバーしています。

国別では米国が6割強と過半を占めていますが、日本やイギリスなどの先進国株式、そして中国やインドなどの新興国株式にも1割程度投資しています(2024年1月末時点)。

現代ポートフォリオ理論(「リスクを抑え一定のリターンを得るためには、多数の銘柄や資産に分散することが有効」)の考え方に基づけば、投資先は多い方が良いことになります。

3.世界経済は着実な成長が続く

世界経済全体を見ると、著しい経済成長を遂げる国がある一方、低成長に甘んじマイナス成長に陥る国もあり、国や地域によって成長ペースは異なります。

これまでの歴史を振り返ると、世界経済は着実に成長を遂げています

国際通貨基金(IMF)が発表した世界の名目GDPの推移を確認すると、リーマン・ショックが起きた直後の2009年は減少しましたが、総じて増加傾向となっています

世界の名目GDPは2000年時点で34.1兆ドルでしたが、IMFでは2028年に133.8ドルまで拡大すると予測しており、世界経済の成長が持続する見通しを立てています。

各国の株式市場の実績に応じて構成比率が決まるため、現状では時価総額の大きい米国株式への投資比率が大きいです。

しかし今後、新興国が著しい経済発展を遂げれば、国別の比率が変化することが想定されます。


IMFの世界経済見通しによると、世界全体では2023年から2025年まで3%台の経済成長が続く見通しとなっております。
先進国・地域では1%台の低成長が続く一方、中国やインドでは4~6%台となるなど新興国・地域では高い成長が予測されています。

新興国は先進国と比べて政治や経済基盤が安定していないため、政治体制の変更やクーデター、投資に関わる重大な規制導入など、その国特有のリスクが高まる可能性があります。

しかし長期的に成長余地が高いことが魅力です。
新興国・地域が急速な経済成長を遂げた場合、世界株式インデックスファンドに投資していれば、その恩恵を受けることができます

4.SBI全世界株式インデックスファンドでは小型株にも投資

また、同じ世界株式インデックスファンドでも、総合経営サービスの商品ラインナップにある「SBI・全世界株式インデックスファンド(愛称:雪だるま)」は、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスをベンチマークとしています。

両指数とも先進国株式と新興国株式の大型株、中型株に投資しているのは共通していますが、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスでは小型株にも投資しています

投資銘柄数は約9,000銘柄とMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(約3,000銘柄)と比べて銘柄数が多くなっています。

また投資が可能な世界の上場株式の約98%をカバーしており、高い分散投資効果を期待することができます。

世界株式インデックスファンドでは、どちらかの指数をベンチマークとしている商品が多いです。

ベンチマークに関しては、投資信託の目論見書や月次レポートで確認することができますので、参考までに違いを覚えておいて下さい。

投資初心者にとっては、「どの銘柄を購入すべきか」という投資判断は難しいです。

ただ世界株式インデックスファンドであれば、先進国と新興国の様々な株式に投資するため、ご自身で銘柄選びや投資比率を調整する必要がありません

「銘柄選択に手間がかからないこと」や「世界経済の成長」に注目し、同ファンドで運用する投資家が増えているとみられます。

5. 世界株式インデックスファンドの選択ポイント

投資家の間では、米国株式インデックスファンドと世界株式インデックスファンドの人気が二分しております。

米アップルなど大手ハイテク企業の成長を重視する方は米国株式インデックスファンド、一方、世界各国の株式に分散して投資したい方は世界株式インデックスファンドの比重を高めにして運用を行うのが良いでしょう

2024年に入り、米国のS&P500指数は過去最高値を更新する強い動きが続いています。

アップルなど大手ハイテク株がS&P500指数の上昇をけん引しており、特に生成AI需要の増加を背景に画像処置半導体大手エヌビディアの上昇が目立っています。

ただし、米国株式市場の良好推移が必ずしも継続するとは限りません。

「次にどの国・地域の株価指数が上昇するか」を予測するのは、運用の専門家であるファンドマネージャーでも難しいです。
どの国・地域の株価指数が上昇してもよいように、基本的に世界の株式に幅広く投資をしておいた方が良いでしょう

また世界経済では高成長を遂げる国があれば、低成長に留まる国はありますが、今後も着実に成長をすることが見込まれています。
中長期的な世界経済の成長に期待し、世界株式インデックスファンドで運用することを検討して良いと考えています。

株式会社マウンティンでは、運用のサポートを行っておりますので、関心のある企業様はお声かけ下さい。

この記事を書いた人

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角屋昌範

CFP DCプランナー                                      証券会社や金融情報会社を経て、総合経営サービスに入社。投資レポートの執筆など、長年マーケットに関する業務に携わる。現在は企業型確定拠出年金制度に魅力を感じ、制度の普及に従事する。

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