企業型確定拠出年金の導入に必要な手数料の基礎知識と種類を解説

企業型確定拠出年金の導入に必要な手数料の基礎知識と種類を解説

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、企業が拠出した掛金を活用して従業員や役員の資産形成が可能な制度であり、注目を集めています。しかし、この制度を導入する際は、手数料について考慮する必要があります。

手数料のなかには毎月発生するものもあるため、資産運用の前提に組み込む必要があります。

そこで本記事では、企業型DCの導入時に企業が負担する手数料の概要と基礎知識について、その種類と内容を詳しく解説していきます。制度導入の判断材料として、ぜひ最後までお読みください。

1.企業型確定拠出年金の概要

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、従業員や役員が将来に備えるための資産形成を企業が支援する制度です。この制度は、企業が従業員や役員のために掛金を拠出し、その掛金をもとに従業員が資産運用を行います。その運用状況によって、将来受け取る年金額が変動するのが特徴です。

従来主流だった確定給付年金は、将来従業員が受け取る給付額を約束する制度でした。そのため、運用結果が悪い場合でも、企業が責任をもって約束した給付額を支払う必要がありました。

しかし、近年では以下の理由により、確定給付年金に代わり、企業型DCの普及が進んでいます。

また、企業型DCには次のような高い節税効果も期待できます

従業員および役員の資産形成につながる制度であり、今後ますます注目されると考えられます。

2.企業型確定拠出年金の手数料の基礎知識

大別すると、企業型DCの手数料には運営管理費用資産管理費用の2種類があります。企業型DCを活用して、資産を運用する場合、これらの手数料も念頭に置く必要があります。

企業型DCにかかる手数料の特徴は、個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合には個人が負担する手数料を、従業員ではなく企業が負担する点です。

手数料の具体的な金額は、選定した金融機関や加入形態により異なります。具体的には、企業が単独で加入するのか、複数の企業が加入する総合型を選択するのか、それによって費用が異なる可能性があります。そのため、自社に合った運営管理機関や資産管理機関を慎重に選ぶことが重要です。

ほかに必要となる支出には、従業員に対する投資教育のための費用などがあります。企業型DCは従業員に向けた福利厚生制度です。その効率化のための費用を、企業側が負担することも視野に入れておく必要があるでしょう。

企業型DCの導入にあたっては、手数料の詳細を把握するとともに、導入メリットと費用負担を十分考慮し検討することが重要です。

以下では、2種類の手数料について解説します。

2-1.運営管理手数料

企業型DCの運営管理手数料は、制度を運営するうえで必要な経費であり、運営管理機関に対して支払われます。運営管理機関は、従業員の情報管理、運用商品の選定、投資に関する教育支援などを行い、導入時または運営時の企業サポートも行います。

運営管理手数料は、経費として認められるため税制上のメリットもあります。

厚生労働省のサイト(※1)によると、運営管理機関は2023年10月現在223社で、主に金融機関が登録されています。

運営管理機関が破綻した場合、従業員の年金資産は全額保証され、別の金融機関に引き継がれる仕組みとなっています。企業は、長期間の運用を前提に、自社に合った運営管理機関を選択する必要があります。

大別すると、運営管理手数料には次の3つがあります

  • 初期費用
  • 毎月発生する費用
  • その他の費用

以下では、それぞれについて詳しく解説します。

※1 厚生労働省「運営管理機関登録業者一覧」

2-1-1.初期費用

企業型DCの導入時にかかる初期費用には、主に導入一時金と口座開設手数料の2つがあります

導入一時金は、制度を始める際に必要となる手数料です。また、この費用は、1事業所ごとに発生するのが一般的です。一方、口座開設費用は、従業員ごとに掛金を拠出するための口座を開設する際に必要な費用で、一般的には加入者1人ごとに発生します。

制度を導入している企業は、導入時に必要なこれらの費用を事前に把握し、予算に計上する必要があります。

2-1-2.毎月発生する費用

企業型DCには、毎月発生する費用もあります。この費用には、主に以下の3つがあります。

企業は、制度を維持するためにこれらの費用を毎月支払います。

2-1-3.その他の費用

初期費用や毎月発生する費用以外にも、企業型DCの運営には必要に応じて発生する手数料があります。代表的なものは以下のとおりです。

これらの費用は、制度の適切な運営と従業員の理解を深めるために必要な費用です。特に投資教育は、従業員自身のニーズに合った運用を行うために必要なものといえます。また、従業員に対する投資教育は、事業主の努力義務とされており、制度の加入後も継続的な投資教育を提供する必要があります。

2-2.資産管理手数料

企業型DCの資産管理手数料は、年金資産の管理・運用に必要な経費であり、資産管理機関に対して支払われます。資産管理機関は、主に信託銀行、証券会社、生命保険会社などで、掛金の管理、運用商品の購入、給付金の支払いが主な役割です。

この手数料は、年金資産の月末平均残高に応じて計算され、資産残高が多いほど高くなります。また、会計処理上では、企業の損金としての取り扱いとなるため、税務上のメリットにも繋がります。

また、企業の脱退や倒産に備え、1年分の資産管理手数料を無利息の預託金として預ける必要があります。この預託金は、不足分は積み増し、超過分は返還される仕組みとなっています。

企業型DCは、長期間運用することを前提に設計された制度です。資産管理手数料の支払いは長期に及ぶため、財務計画に組み入れる必要があるでしょう。

資産管理機関によっては、他の手数料がかかる場合もあります。次のような場合に「資産管理機関契約締結にかかる取扱手数料」として1事業主あたり33,000円の手数料を定めています

・申し込み時に申告する厚生年金被保険者数が事業主単位で50名未満の場合に課金対象

資産管理手数料以外に、このような手数料が発生する場合もあるため、資産管理機関に事前に確認しましょう。

3.まとめ

企業型確定拠出年金は、現在注目を集めている制度です。本制度を導入する場合、企業は主に運営管理手数料と資産管理手数料の2種類の手数料を負担しなければなりません

運営管理手数料は、導入時における初期費用、毎月発生する費用、従業員に対する投資教育などにかかるその他費用があります。一方、資産管理手数料は、年金資産の管理や運用にかかる費用で、年金資産の月末平均残高に応じて金額が決まります。

これらの手数料は基本的に損金として計上されるため、企業にとって税法上のメリットもあります。

手数料は、運営管理機関や資産管理機関に対して支払われます。自社のニーズにあった運営管理機関や資産管理機関を慎重に選択し、長期的な運用を念頭に、制度の導入を検討することが重要です。

当社マウンティンは、これまでに600社を超える企業に対して、企業型DCの導入支援を提供してきました。当社のプランに関する料金体系を説明しますので、企業型確定拠出年金にご感心がある方は、ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

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角屋昌範

CFP DCプランナー                                      証券会社や金融情報会社を経て、総合経営サービスに入社。投資レポートの執筆など、長年マーケットに関する業務に携わる。現在は企業型確定拠出年金制度に魅力を感じ、制度の普及に従事する。

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