【2025年最新】企業型確定拠出年金(企業型DC)の法改正でどう変わる?変更点や対応策を解説

【2025年最新】企業型確定拠出年金(企業型DC)の法改正でどう変わる?変更点や対応策を解説

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、働き手の老後資産形成を支える重要な制度として位置づけられています。

近年、社会情勢の変化に合わせて制度改正がされており、2025年にも重要な法改正が実施される予定です。

本記事では、企業型確定拠出年金の法改正にともなう変更点や注意点を解説します。

企業型確定拠出年金の改正内容を正しく理解することで、より効果的に資産形成できるでしょう。

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この記事を読むとわかること

  • ・企業型確定拠出年金の過去から現在までの主要な法改正の流れ
  • ・私的年金制度が法改正される社会的背景と必要性
  • ・2025年度法改正で予定されている具体的な変更内容
  • ・法改正による企業や加入者にとってのメリットと注意すべきポイント

これまでの企業型確定拠出年金の法改正

企業型確定拠出年金は2001年の制度開始以来、社会情勢の変化に応じて複数回改正してきました

まず、2012年1月にマッチング拠出制度が導入されました。マッチング拠出制度は、従業員が自らの給与から追加で掛金を上乗せできる制度です。企業だけでなく従業員も積極的に老後資産形成に参画できるようになりました。

次に大きな改正があったのは2022年です。4月に受給開始年齢の上限が70歳から75歳に引き上げられ、より柔軟な受取時期の選択が可能になったのです。

さらに5月には、加入可能年齢が65歳から70歳に延長され、シニア世代の加入機会が広がりました。

同年10月には、制限のあったiDeCo(個人型確定拠出年金)への加入要件が緩和され、企業型DCの加入者も原則としてiDeCoを併用できるようになりました。

2024年12月にも拠出限度額が見直されるなど、継続的な制度改善が図られています。具体的には、企業型DC以外の私的年金に加入している場合、上限額55,000円から自らの掛金相当額を差し引いた額が上限として設定されました。

年月改正内容
2012年1月マッチング拠出制度の導入
2022年4月受給開始年齢の上限が70歳から75歳に拡大
2022年5月加入可能年齢の上限が65歳から70歳に拡大
2022年10月企業型DCの加入者もiDeCoの併用が可能
2024年12月拠出限度額の見直し(55,000円 – DBなどの他制度掛金相当額)

私的年金が法改正される背景

私的年金制度が法改正される背景には、制度の公平性を高める目的があります

以前は勤務先の業種や職種で年金制度に差がありました。確定給付企業年金と企業型確定拠出年金を併用する企業では税制優遇を多く受けられる一方、その他の企業では恩恵が限られていました。

また、社会全体で働き方やライフスタイルの多様化、高齢者就業の進行も私的年金が法改正される要因のひとつです。豊かな老後生活に向けた安定的な資産形成の必要性が増しており、税制上の仕組みが偏らず、誰にとっても利用しやすい制度であることが欠かせません。

つまり、勤務先の制度の有無や種類に左右されず、誰もが平等に老後資金を準備できる環境を整備するために、私的年金は法改正されています。

2025年度法改正で企業型確定拠出年金はどう変わる?

2025年6月に年金制度改正法が成立・公布され、企業型確定拠出年金制度に重要な変更が実施されることが確定しました。

法改正の主な内容は、以下の3点です。

  • ・拠出限度額の引き上げ
  • ・マッチング拠出の規制緩和
  • ・運用の可視化

各変更内容を詳しく解説します。

拠出限度額の引き上げ

2025年度の法改正で、企業型確定拠出年金の拠出限度額が月額55,000円から62,000円へと引き上げられる予定です

企業型確定拠出年金のみを利用している場合は、月額62,000万円の全額を拠出できるようになります。一方で、企業型確定拠出年金とiDeCoを併用している場合の上限額は、両制度の合計で月額62,000円です。

掛金の上限が増えることで、将来に向けて積み立てられる資金が拡大し、より安定した老後生活の備えにつながります。

マッチング拠出の規制緩和

2025年度の法改正では、企業型確定拠出年金のマッチング拠出に関する規制が緩和されます。

これまで加入者が拠出できる掛金は、会社からの掛金を超えてはいけない制限がありました。しかし、事業主掛金以下にする制限が撤廃され、拠出限度枠内であれば事業主掛金を超えた拠出が可能です。つまり、会社からの掛金が少ない場合でも、加入者が自らの意思で掛金を増やし、上限まで拠出できる仕組みに変わります。

マッチング拠出の制限撤廃は、従業員が自分のライフプランに合わせて主体的に老後資金を準備できるため、資産形成の自由度が高まります。

運用の可視化

企業型確定拠出年金制度の透明性向上で、加入者がより安心して資産運用できる環境が整備されます

具体的には、厚生労働省が企業年金の運用状況の情報を集約して公表します。開示される内容には運用商品の詳細情報や手数料、過去の運用実績などが含まれ、誰でも閲覧可能です。

運用商品や資産状況の可視化で、他社と比較・分析し、現在拠出している金額や将来の受取見込額を具体的に把握できるようになります。

2025年度法改正による企業型確定拠出年金の制度変更はいつ?

2025年度法改正による企業型確定拠出年金の制度変更は、原則として2026年(令和8年)4月1日に施行されます

ただし、法改正の施行時期は改正内容で段階的に設定されており、すべての改正が同じタイミングで始まるわけではありません。

たとえば、企業型DCのマッチング拠出制限撤廃は、2026年(令和8年)4月1日に施行予定です。一方で、iDeCoや企業型確定拠出年金の拠出限度額の引き上げは、2027年1月から実施する方針が示されています。

改正内容によって施行期日が異なる場合があるため、具体的な適用時期を把握することが大切です。詳細については厚生労働省の公式サイトで随時確認しましょう。

企業型確定拠出年金の法改正によるメリット

2025年度法改正は、企業と従業員双方にとって多くの利益をもたらします。企業型確定拠出年金制度の柔軟性向上で、個人のライフスタイルや資産形成ニーズにより適合した活用が可能になるでしょう。ここでは、法改正による主なメリットを詳しく解説します。

【企業型確定拠出年金の法改正によるメリット】

  • ・長期運用による資産形成の可能性
  • ・税制優遇メリットの拡大

長期運用による資産形成の可能性

企業型確定拠出年金の拠出限度額の引き上げとマッチング拠出の規制緩和で、積み立てられる金額が増え、長期的な資産形成の可能性が広がります

確定拠出年金は運用期間が数十年に及ぶことが多いため、複利効果も高まり、将来の老後資金に余裕を持たせやすくなります。

ただし、無理のない範囲で計画を立てることが重要です。金融庁が提供するつみたてシミュレーターを利用すれば、将来の資産形成を具体的にイメージでき、より現実的なプランを作成できます。

総合経営サービスでも作成可能です。自社に適した積立額をシミュレーションしたい場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

税制優遇メリットの拡大

企業型確定拠出年金の限度額引き上げで、税制優遇のメリットがさらに拡大します

確定拠出年金の拠出金は全額所得控除の対象です。所得税・住民税の税負担が軽減し、働きながら高い節税効果が期待できます。

積み立てた資金を運用して得られる利益は非課税扱いとなるため、長期間にわたって税制優遇を活用した効率的な資産形成が可能です。

将来の受け取り時にも退職所得控除や公的年金等控除が適用され、税負担を抑えながら資金を確保できます。

企業型確定拠出年金の法改正で考慮すべき注意点

2025年度法改正で多くのメリットが期待される一方で、注意すべき点も存在します。

企業型DCとiDeCoを組み合わせる場合には、掛金の合計が月額6.2万円を超えないように調整することが必要です

また、2025年度法改正でマッチング拠出は会社からの掛金を上回って拠出できるようになるため、加入者自身の拠出計画の管理がより重要になります。

制度を有効活用するためには、税制優遇を最大限活かしながら、無理のない範囲で計画を立てることが欠かせません。十分な資金計画と制度理解を前提に、将来の資産形成を見据えて準備する姿勢が求められます。

企業型確定拠出年金の法改正を理解してより良い資産形成を始めよう

本記事では、企業型確定拠出年金の2025年度法改正にともなう変更点や注意点を解説しました。

拠出限度額の引き上げ、マッチング拠出の規制緩和、運用の可視化などの改正は、より柔軟で効率的な制度利用を可能にし、働く人々の老後資産形成を大きく後押しするでしょう。

法改正のメリットを最大限活用するためには、制度内容を正しく理解し、個人の状況に応じた戦略的な活用が重要です。税制優遇効果を活かしながら、長期的な視点で着実な資産形成を進めていきましょう。

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この記事を書いた人

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角屋昌範

CFP DCプランナー                                      証券会社や金融情報会社を経て、総合経営サービスに入社。投資レポートの執筆など、長年マーケットに関する業務に携わる。現在は企業型確定拠出年金制度に魅力を感じ、制度の普及に従事する。

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