「法人税の負担が重くて事業拡大の資金が確保できない」「従業員の待遇改善もしたいのに、どんな節税対策があるのか分からない」などと悩んでいませんか?
中小企業の節税には、法律に則ったさまざまな方法があります。特に法人税の負担が増加している企業では、設備投資や福利厚生の充実など、企業の成長と従業員還元を両立させる節税対策の活用が有効です。
本記事では、令和7年度税制改正の最新動向から、役員報酬の設定、決算賞与の活用、設備投資など、すぐに実践できる20の節税対策を詳しく解説します。さらに、企業型確定拠出年金を導入して成功した企業の具体的な事例も紹介しています。
これらの対策を実践することで、適切な税負担管理と事業発展の両立が可能になります。経営者の皆さまの悩みに役立つ情報となっていますので、ぜひ参考にしてください。
企業型確定拠出年金の導入をご検討の経営者の方には、導入実績700社以上*を誇る株式会社マウンティンのトータルサポートサービスがお役立ていただけます。約6ヶ月での確実な制度導入から、運用開始後の継続的なフォローまで、経験豊富な専任担当者が貴社に寄り添ってサポートいたします。
*2024年12月時点
【このような方へおすすめ】
・税負担を減らしたい
・社会保険料を減らしたい
・福利厚生を拡充したい
・退職金対策、資産形成をしたい など
まずは、こちらのボタンからお気軽に資料請求・お問い合わせください
中小企業が節税対策を考えるべき理由
小規模・中堅企業は、大手企業と比べて資金繰りが難しく、売上規模に対する税負担も相対的に大きくなります。そのため、財務基盤を安定させるうえで、効果的な節税対策は重要な課題です。
しかし、節税方法は企業の規模や業態によって最適なものが異なります。経営資金を確保するためには、自社の状況に合った適切な対策を選択することが必要です。
一方で、長期的な視点を欠いた税金対策は企業価値を損なうリスクをともなうため、綿密な戦略立案が欠かせません。現在の財務状況や将来の事業展開を十分に考慮したうえで、最適な節税プランを検討していく必要があります。
節税を成功させるために知っておくべき基本
節税対策を実施するためには、まず企業が負担している税金の種類や特徴を理解することが不可欠です。
中小企業に課される税金にはさまざまな種類があり、それぞれの計算方法や納付時期も異なります。これらの基本的な知識を押さえることで、自社に適した節税方法を選択できるようになります。
中小企業が負担する税金とは?
法人経営に関わる税金は、主に4つに分類されます。業態に応じて事業所得税や固定資産税なども発生する場合がありますが、主軸となるのは「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「消費税」です。
・法人税 事業活動から得られる利益に課される法人税は、収益から経費を引いた課税所得を基に計算されます。税率は企業規模によって異なり、資本金1億円以下の企業では15〜23.2%の範囲で適用されます。
・法人住民税 法人住民税は地方自治体に納める税金で、法人税額を基準として計算される法人税割と、資本金等の額や従業員数に応じて決まる均等割から構成されています。地域によって税率が異なるため、事業所の所在地により税負担が変動する特徴があります。
・法人事業税 企業活動にともなう地域インフラ利用への対価として、法人事業税が課されます。「付加価値割」「資本割」「所得割」「収入割」の区分で徴収され、企業規模や業種、所得に応じて金額が決まります。
・消費税 商品販売やサービス提供時に発生する消費税には、「一般課税方式」と「簡易課税方式」があります。選択する方式により納税額に大きな差が生じる可能性があります。
【2025年最新】中小企業が押さえておきたい税制動向

経済産業省は2025年度の税制見直しにあたり、中小企業の成長を後押しする新たな施策を提案しています。省庁が発表した「令和7年度税制改正に関する要望のポイント」では、中小企業の事業承継支援や成長促進、防災対策強化に向けたさまざまな税制措置が盛り込まれており、積極的に活用することで経営基盤を強化できる可能性があります。
・成長意欲の高い企業への支援強化
売上高100億円を目指す意欲的な中小企業を対象とした「経営強化税制」の拡充案が注目されています。現行制度の期限延長に加え、法人税額の特別控除を強化する提案となっています。
・賃金上昇を促す二つの税制措置
中小企業の賃上げ実現を支援するため、「投資促進税制」と「軽減税率」の継続適用が要望されています。大手企業だけでなく中小企業での給与増額を促し、日本経済全体の活性化を目指す狙いがあります。
・設備投資を支える固定資産税の負担軽減
業績不振の企業が陥りやすい投資抑制の悪循環を防ぐため、設備投資に関わる固定資産税の軽減措置延長も提案されています。将来の収益改善に向けた積極的な設備投資や、賃上げを実現しやすい環境づくりを目指します。
参考:経済産業省「令和7年度税制改正に関する経済産業省要望のポイント」P2
中小企業向けの具体的な節税対策20選

中小企業の経営者が実践できる節税対策は多岐にわたります。ここでは、税負担を適切に管理し、企業の持続的な成長を支援する具体的な方法を紹介します。
<節税対策一覧とメリット>
1. 企業型確定拠出年金・・・掛金全額損金算入、従業員の福利厚生向上
2. 役員報酬の適切設定・・・経費計上による課税所得の抑制
3. 決算賞与の活用・・・臨時的な利益調整が可能
4. 含み損有価証券の売却・・・損失確定による課税所得圧縮
5. 赤字の繰越控除・・・最長10年間の損失活用可能
6. 設備投資の実施・・・即時償却か税額控除の選択可
7. 決算期の消耗品購入・・・即時の経費計上が可能
8. 固定資産の見直し・・・売却損・除却損の計上可能
9. 不要在庫の整理・・・売却損・評価損の計上可能
10. 少額減価償却資産・・・30万円未満の即時経費化
11. 未払費用の計上・・・発生主義による費用計上
12. 貸倒損失の計上・・・回収不能債権の損金算入
13. 短期前払費用の活用・・・支払時点での経費計上
14. 別法人の新設・・・優遇税率の適用拡大
15. 小規模企業共済・・・掛金全額所得控除
16. 保険の活用・・・保険料の経費計上
17. 旅費日当の支給・・・業務関連経費の計上
18. 健康診断の実施・・・福利厚生費として計上
19. 社宅の提供・・・家賃差額の損金算入
20. 自宅経費の案分・・・光熱費等の一部経費化
1. 企業型確定拠出年金制度を導入する
企業型確定拠出年金は、企業の税負担軽減と従業員の福利厚生向上を同時に実現できる制度です。1名からの導入が可能なため、中小企業でも活用しやすい特徴があります。
企業の代表者も加入できる制度設計により、法人経費での退職金準備が可能です。また、掛金は全額が損金算入され、従業員にとっても所得控除の対象となります。
企業と従業員の双方にメリットがある制度設計が可能で、従業員のための充実した資産形成支援は人材確保や定着率向上にも寄与します。
詳しくは以下で解説しています。
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは?導入に迷っている人事担当者必見
2. 役員報酬を適切な金額に設定する
法人の経費として計上できる役員報酬は、税金負担の軽減に有効な手段です。役員報酬の増額により経費が増えることで、法人税の計算基準となる課税所得を抑制できます。
損金算入が可能な役員報酬は以下の3種類です。
- 定期同額給与:株主総会決議に基づき毎月一定額を支給
- 事前確定届出給与:支給時期と金額を税務署へ事前申請して支給
- 業績連動給与:非同族会社が業績指標に応じて支給する制度
ただし業績連動給与の導入には、有価証券報告書への記載や利益確定後1ヶ月以内の支給など、厳格な要件を満たす必要があります。
3. 決算賞与を活用する
決算期に合わせて支給される臨時賞与は、通常の季節的な賞与と違い、業績に応じて柔軟な判断が可能です。多額の法人税負担が予想される決算期には、税金支払いに充てる資金を従業員への還元に振り向けることができます。
しかし、決算賞与の実施には複数の留意点があります。支給により手元資金が減少するため、キャッシュフローへの影響を十分に考慮する必要があります。また、一度導入すると従業員の期待が定着し、翌年以降も継続的な支給が求められます。
4. 含み損のある有価証券を売却する
多額の利益が見込まれる決算期には、含み損のある金融商品を売却することで損失を確定させ、課税所得を圧縮できます。
有価証券の含み損は、実際の売却を通じて損失を確定させなければ損金算入ができません。単なる保有継続では税務上のメリットは得られないため、適切なタイミングでの売却判断が重要となります。
5. 赤字の繰越控除制度を使う
欠損金の繰越控除制度を利用すると、事業年度に発生した赤字を最長10年間にわたって保持できます。実務では、将来の黒字と組み合わせることで税負担を軽減する手法として活用されています。
また、欠損金の繰戻し還付制度を利用すると、赤字を計上した事業年度の法人税が還付される場合があります。前年度に納付済みの法人税を取り戻せる可能性があるため、資金繰りの改善に役立ちます。ただし、適用には一定の要件を満たす必要があります。
6. 設備投資を実施する
中小企業等経営強化法に基づく税制優遇措置により、経営力向上計画の認定を受けた企業が対象設備を導入する際、即時償却制度か税額控除のいずれかを選択できます。
この制度では企業規模に応じた税額控除率が設定されています。資本金3,000万円以下の企業は取得価額の10%、3,000万円超1億円以下の企業は7%の税額控除が適用されます。即時償却との選択制となっているため、企業の状況に応じて有利な方を選べます。
なお、経済産業省が発表した令和7年度税制改正要望では、即時償却や税額控除に加え、新たな上乗せ措置の創設が検討されています。
参考:経済産業省「令和7年度税制改正に関する経済産業省要望のポイント」P2
7. 決算時に消耗品を購入する
決算期に合わせた消耗品の購入は、期首での購入と比べて即座に税額に反映されるため、資金効率の面でも優位性があります。
通常、未使用の消耗品は貯蔵品として資産計上が必要です。しかし消耗品は金額的重要性が低いという考えから、一定条件下では購入年度内での全額経費計上が認められています。
ただし、郵便切手やレターパック、収入印紙などの金銭価値を持つものは、即時経費計上の対象外となります。
8. 固定資産を見直して節税につなげる
決算期前に使用頻度の低い固定資産の売却や廃棄を実施することで、税務上の損失計上が可能になります。
固定資産の帳簿価額を下回る価格での売却は売却損として、廃棄処分した場合は除却損として計上が可能です。これらの損失計上により課税所得を減少させ、法人税の負担を軽減できます。
特に土地や建物などの不動産を処分する場合、毎年発生する固定資産税の負担からも解放され、経常的なコスト削減効果も期待できます。
9. 不要な在庫を見直す
不要な在庫品の処分は、税負担の軽減と経営効率の向上を期待できる方法です。適切な在庫管理は金融機関からの評価にも好影響を与え、資金調達を円滑にする効果があります。
詳しくは、以下の3つの方法があります。
- 帳簿価額を下回る金額での売却時に発生する差額を売却損として計上
- 不良在庫を廃棄処分する際の残存価値分を廃棄損として計上
- 在庫品の価値下落分を評価損として計上
不良在庫の整理は保管コストの削減につながり、運転資金の効率化にも寄与します。
10. 少額減価償却資産の特例を活用する
青色申告者は、少額減価償却資産の特例制度を活用することで効果的な節税が可能です。30万円未満の資産購入時に、取得額の全額を即時経費計上できます。
特例の適用には以下の条件を満たす必要があります。
- 従業員規模が500人以下の企業であること
- 令和6年3月末までに資産を取得すること
- 年間の資産取得額が300万円以内であること
ただし、少額減価償却資産とする場合は全額を即時経費計上できますが、その場合は償却資産税が発生します。また、20万円未満の資産は一括償却資産として3年間で均等償却することもできます。
11. 未払費用を正確に計上する
決算期に既に発生しており、かつ翌期支払い予定の費用を未払費用として計上できます。
未払費用の例には以下が該当します。
- 従業員への給与や手当
- 社会保険料の会社負担分
- 電話代などの通信費用
- 設備のリース料
費用の発生時期に合わせた適切な計上により、当期の利益を実態に即した金額に抑えることが可能です。
12. 貸倒損失を計上する
売掛金などの債権が回収不能となった場合、一定の条件下で貸倒損失として計上できます。貸倒損失が認められる主なケースは以下のとおりです。
- 会社更生法の適用や任意整理により債権額が正式に減額された場合は、債権放棄額が損金算入の対象となります。
- 債務者の財務状況から債権全額の回収が不可能と判断される場合は、その金額を損金計上できます。部分的に回収できる可能性が残る場合は対象外となります。
貸倒処理の実施には法的手続きの記録や債務者の財務状況を示す資料など、処理の根拠となる文書は適切に保管する必要があります。
13. 短期前払費用を活用する
1年以内に利用するサービスの前払い費用は、「短期前払費用の特例」により支払時点での経費計上が可能です。この制度を活用することで、計画的に税負担を調整できます。
この特例は一時的な利益操作を防ぐため、翌年以降も同様の支払いパターンを継続することが前提となっています。単年度の税負担軽減だけを目的とした安易な適用は避ける必要があります。
14. 別法人を新設する
中小企業の税負担は課税所得額によって以下のように異なります。
課税所得額 | 税率 |
800万円以下 | 15% |
800万円超 | 23.2% |
このような税率構造を背景に、所得を複数の法人に分散させることで、より多くの所得部分に優遇税率を適用できる利点があります。なお、この中小企業向けの優遇措置には期限がありますが、令和7年度の税制改正案では軽減税率の適用期間をさらに延長する方向で検討が進められています。
なお、別会社設立には事業上の合理性が求められます。純粋な節税目的での会社分割は税務調査のリスクを高める可能性があります。
15. 小規模企業共済制度を利用する
小規模企業共済制度は、経営者の退職金準備と節税を同時に実現できる制度です。
掛金は月額1,000円から70,000円までの範囲で設定でき、経営者の資金計画に応じて柔軟な運用が可能です。また、納付した掛金は全額が所得控除の対象となるため、即時の節税効果が得られます。
共済金の受取時には、退職所得扱いや分割受取りなど、課税面での優遇措置があります。特に、廃業や退職時の資金として活用することで、効果的に節税が可能です。
16. 保険を活用する
法人向け生命保険による節税のメリットは、支払った保険料を経費として計上できる点にあります。個人で加入する一般的な生命保険とは異なり、企業が加入する法人保険では、一定の条件下で保険料を損金として扱うことが認められています。
ただし、保険商品の内容によって経費として認められる金額が異なります。特に、中途解約時の返戻金が受け取れる保険商品については、返戻率に応じて損金算入できる金額が細かく定められています。
一方で、損害保険については事故や災害への補償が目的となるため、支払保険料の全額を経費として計上することが可能です。企業が抱えるリスクの種類に応じて、適切な保険を選択することが重要です。
17. 旅費日当を支給する
遠方の取引先との商談で必要な交通費、宿泊費、現地での飲食費など、業務に関連する支出を損金算入することで、効果的な税負担の軽減が可能となります。
なお、出張費用の経費計上には明確な事業目的が必要です。電車やバスの運賃、航空券代金、宿泊施設の利用料など、業務遂行に必要な支出が対象となります。金額の妥当性と領収書などの証憑類の保管も、重要なポイントです。
18. 健康診断を実施する
企業全体で実施する健康診断による医療機関への直接支払いなどは、一定の要件を満たすことで費用の全額を損金算入できます。
要件としては、企業の健康診断制度は全従業員を対象とし、同一内容の検診を提供する必要があります。会社が医療機関へ直接費用を支払うことで、福利厚生費として経費計上が可能となります。
また、希望する従業員全員を対象とした人間ドックも損金算入の対象となります。ただし、費用は社会通念上、妥当な範囲にとどめることが重要です。
19. 社宅を提供する
企業が従業員向けに提供する社宅は、会社負担の家賃と従業員負担分の差額を損金算入することで経費計上が可能です。
従業員負担の家賃設定は慎重な検討が必要です。無料や著しく安価な設定は現物給与と見なされ、従業員の課税所得として扱われる可能性があります。市場相場を考慮した適切な賃料設定が重要となります。
20. 自宅の光熱費等を案分計上する
経営者が自宅で業務をする場合、水道光熱費や家賃の一部を経費として計上できます。そのためには、仕事場として使用する部分に応じて、家事費用と業務費用を適切に区分する必要があります。
また、パソコンやインターネット通信費なども、業務使用時間に応じた按分計算が可能です。経費の按分計算は手間のかかる作業ですが、毎月の確実な記録と計算により、着実な節税効果を得られます。
企業型確定拠出年金で節税!成功事例の紹介

企業型確定拠出年金制度は、従業員の老後保障と企業の節税効果を両立させる福利厚生制度です。ここでは、アルミ形材加工に特化した有限会社石原精工の事例を詳しく見ていきます。
同社は2004年の創業以来、特定分野への特化戦略で競争優位性を確立してきました。導入前は勤続10年以上の社員が増加する中で、退職金制度の必要性を感じていました。
社員が活き活きと働き、老後の不安なく長期勤続できる環境づくりが課題となる中、企業型確定拠出年金に関するセミナーへの参加が、制度導入のきっかけとなりました。
制度導入の決め手となったのは、4つのポイントです。
- 従業員の退職金制度が明確化され、長期的な人材定着が期待できる
- 企業の掛金に対する税制優遇措置により、節税効果が得られる
- 社会保険料の負担軽減により、経営コストの削減が可能
- 福利厚生の充実によって、優秀な人材の採用にプラスの効果がある
石原精工の経営者である石原社長は、「企業型確定拠出年金の導入は運営コストを上回るメリットがある」「実際、税制優遇による経費削減効果に加え、従業員の資産形成支援という社会的意義も大きい」と評価しています。
現在の経済環境を考えると、預貯金だけでは資産価値の目減りが懸念され、年金制度の将来不安も指摘されています。このような状況下で、企業型確定拠出年金は、企業の退職金制度として導入することで、従業員の将来設計をサポートしながら、企業としても節税メリットを享受できる制度といえます。
節税を実施する際の注意点
中小企業の節税対策は、企業の持続的成長を支える経営課題です。ただし、闇雲に節税手法を導入するのではなく、計画的かつ適切に行うことが求められます。
ここでは、節税を実施する際の重要な注意点について解説します。
グレーゾーンの節税はやめる
節税対策は、合法的な範囲内で行うことが大前提です。グレーゾーンでの対策は税務リスクを高め、企業の信用を損なう可能性があります。長期的な企業価値の向上を見据えた、適切な節税対策の選択が必要です。
適切な節税対策は、単なる税負担の軽減だけでなく、企業の持続的成長を支える重要な経営戦略です。従業員の福利厚生充実や事業基盤の強化など、企業価値の向上につながる施策を優先的に検討することが大切です。
意味のない節税はしない
節税の本来の目的は、企業のキャッシュフローを改善し、経営基盤を強化することです。単に課税所得を減らすための不要な支出は、企業価値を損なう結果となりかねません。
決算期が近いからといって、効果の乏しい接待を増やしたり、必要以上の消耗品を購入したりすることは、節税の本質から外れた対応です。税負担は減っても、結果として企業の手元資金が減少してしまいます。
効果的な節税とは、事業に必要な投資や経費を適切なタイミングで行い、税務上のメリットと事業効果の両方を実現することです。企業の成長戦略に沿った計画的な資金活用が、真の節税につながります。
中小企業の節税でよくある疑問
ここでは、中小企業の節税に関する疑問について具体的な解説をします。
税金対策で車を購入するのはなぜ?
法人名義で車両を購入すると、購入費用と維持費を経費として計上できるため、課税所得を減らすことができます。
ただし、営業活動や拠点間移動、商品配送など、業務上で実際に必要である明確な理由が必要です。会社の規模や事業内容に見合った台数と使用形態が、税務上の判断基準となります。
車両購入は大きな投資となるため、業務上の必要性と節税効果のバランスを考慮した判断が必要です。企業の成長戦略に沿った計画的な導入が望ましいでしょう。
税金対策で買うものには何がある?
消耗品として経費計上できる物品の範囲は、一般的に考えられているより広範です。取得価額が10万円未満のもの、または使用可能期間が1年未満のものが該当し、これらは購入時に全額を経費として計上できます。
具体的な消耗品の例として、事務用品として以下のものが該当します。
・文房具全般
・パソコン周辺機器
・10万円未満の事務机や電話機器
・各種ソフトウェアライセンス料
・社内で使用する消耗品
なお、セット購入の場合は合計金額で判断する必要があり、10万円以上となる場合は消耗品費として処理できません。
法人の利益が出過ぎた場合、どのように節税すべき?
企業の売上が伸び、利益が大きく増えることは喜ばしいことですが、同時に税金の負担も大きくなります。そのため、経営者は将来を見越した計画的な判断のもと、適切な節税対策をすることが大切です。
具体策としては、従業員への還元を通じた適切な利益調整が考えられます。この記事で紹介した企業型確定拠出年金の導入や決算賞与の支給、社員旅行、健康診断の充実など、従業員の満足度向上につながる施策も選択肢の一つです。
ただし、単年度の税負担軽減だけを目的とした支出は避け、中長期的な企業成長に寄与する施策を選択しましょう。また、手元資金を適切に確保しながら、計画的な支出を行うことが重要です。
中小企業の賢い節税対策なら企業型確定拠出年金がおすすめ
本記事では、中小企業におけるさまざまな節税対策を詳しく解説してきました。基本的な税制の理解から具体的な20の節税方法、さらには実際の導入事例まで、幅広い内容を網羅しています。その中でも特に注目すべきは、企業型確定拠出年金制度の活用です。
企業型確定拠出年金制度の最大の特徴は、企業と従業員の双方にメリットがある点です。企業側では、掛金の全額損金算入による節税効果が得られる他、福利厚生の充実による人材確保や定着率向上も期待できます。経営者自身の退職金準備としても活用可能であるうえに、従業員側では資産形成が可能となります。
ただし、制度の導入や運用には専門的な知識と適切な手続きが必要です。株式会社マウンティンでは、導入前の事前シミュレーションから、従業員への説明会、各種規程の整備、手続き代行まで、包括的なサポートを提供しています。これまでに700社以上*の企業導入を成功に導いた豊富な実績とノウハウで、貴社の課題に寄り添い、最適な支援を提供いたします。
*2024年12月時点
【このような方へおすすめ】
・税負担を減らしたい
・社会保険料を減らしたい
・福利厚生を拡充したい
・退職金対策、資産形成をしたい など
まずは、こちらのボタンからお気軽に資料請求・お問い合わせください