企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が従業員のために掛金を拠出し、従業員が自分で運用商品の選定と資産形成を行う年金制度です。福利厚生の一環として多くの企業で導入されています。
企業型DCを導入すれば、掛金の全額損金算入や福利厚生の充実など、さまざまなメリットがあります。
本記事では、企業型DCの導入方法や導入のメリット・注意点を解説します。企業型DCの導入を検討している経営者や人事担当者は、ぜひ参考にしてください。
企業型DCの導入方法【5ステップ】

企業型DCを導入するには、制度設計から運用開始まで、計画的に進めることが大切です。企業型DCを導入する際の主な手順は、以下のとおりです。
- 制度設計を検討する
- 従業員・労働組合と合意形成を図る
- 必要書類を準備して厚生局に申請する
- 加入者情報を登録する
- 運用管理を開始する
各ステップのポイントを押さえ、スムーズに導入しましょう。
1. 制度設計を検討する
企業型DCには主に次の3つのタイプがあり、自社の状況に合った方式を選択することが重要です。
- 企業拠出型:企業が従業員の掛金を全額拠出する方式
- 選択制:従業員が給与の一部を掛金として拠出する方式
- ミックス(通称A+B):企業拠出型と選択制を組み合わせた方式
また、導入コストと毎月の掛金を試算し、会社から拠出する掛金額を決めます。その他にも、マッチング拠出の有無や加入対象者の範囲なども明確に定めることが重要です。
自社の財務状況や人事方針に即した制度設計が、無理のない制度運営につながります。
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2. 従業員・労働組合と合意形成を図る
企業型DCを導入する際には、労使合意のうえで策定した年金規約について、厚生労働大臣の承認を受けることが義務付けられています。
労働組合または従業員代表との協議を通じて、制度内容(掛金、運用商品など)について合意形成を図ります。全従業員向けの説明会を開催し、メリット・デメリットや運用方法をわかりやすく説明し、書面での同意を得ましょう。
労使協議の経緯は、申請時に厚生労働省(地方厚生局)へ提出する必要があるため、協議内容の記録を残しておくことが大切です。
3. 必要書類を準備して厚生局に申請する
制度設計と労使合意が完了したら、申請書類の準備に入ります。具体的に実施すべき内容は、次のとおりです。
- 年金規約の作成
- 労使合意書の準備
- 就業規則の変更(退職金規程など)
- 会社情報・適用事業所証明など添付書類
- 地方厚生局に提出・承認待ち
作成した規約や労使合意書などを、管轄の地方厚生局に申請して承認を得ます。承認までには1〜2ヶ月ほどかかることがあるため、制度開始希望日から逆算して余裕を持ったスケジュール設計が大切です。
書類の不備があると再提出が必要となり、さらに時間がかかってしまいます。提出前に運営管理機関や社会保険労務士に確認して頂くのもひとつの方法です。
4. 加入者情報を登録する
厚生局の承認後、制度開始月の前月20日までに加入者情報を運営管理機関に登録します。従業員から運用商品配分の指図を受け付け、運営管理機関と連携して口座開設作業を進めましょう。
従業員一人ひとりの基本情報や掛金額などを正確に登録することが求められます。登録内容に誤りがあると、運用や給付に影響が出る可能性があるため、丁寧な確認作業を心がけましょう。
5. 運用管理を開始する
制度がスタートしたら、毎月の掛金拠出、入退社時や掛金変更時の手続きを継続的に行います。確定拠出年金法において、企業には加入者である従業員に対し、運用に関する情報の提供と投資教育を行う努力義務が課せられています。
定期的な投資教育や制度見直しを実施しながら運営することで、従業員の理解度向上と資産形成の促進が期待できるでしょう。
企業型DCを導入する際の費用・手数料
企業型DCを導入すると、主に以下の費用が発生します。
- 初期費用(運営管理手数料・導入一時金・口座開設手数料など)
- ランニングコスト(事業主手数料・加入者手数料・収納代行手数料など)
- その他(移換手数料・還付手数料・従業員への説明会など)
初期費用とランニングコスト以外にも、移換手数料や還付手数料が発生する場合があります。さらに、従業員への説明会を外部講師に依頼する場合は講師料も必要です。
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企業が企業型DCを導入するメリット
企業型DCに加入する従業員にとっては、勤務先の企業が掛金を拠出することや、税制優遇を受けながら資産形成ができることなどのメリットがあります。
制度を導入する企業側にも大きなメリットが存在します。企業が企業型DCを導入する主なメリットは、以下のとおりです。
- 掛金は全額損金算入できる
- 福利厚生を充実させられる
- 積立不足を解消できる
企業型DCを導入するメリットを理解し、有効活用しましょう。
掛金は全額損金算入できる
企業が拠出する掛金は全額損金算入できるため、法人税の節税につながります。
たとえば、従業員1人あたり月額1万円の掛金を拠出する場合、年間12万円が損金として認められます。従業員数が多いほど、節税効果も大きくなるのです。
また、社会保険料の算定基礎には含まれないため、企業が負担する社会保険料の削減効果も期待できます。
福利厚生を充実させられる
企業型DCは老後資産形成を支える代表的な福利厚生のひとつとしてアピールしやすく、採用ブランディングや従業員満足度の向上が期待できます。
若手人材の採用では、福利厚生の充実度が企業選びの判断材料のひとつとなっています。企業型DCの導入は、従業員の将来を大切にする企業というイメージを与えるでしょう。
すでに勤務している従業員にとっても、会社が自分たちの老後を考えてくれているという実感が得られるため、満足度向上や離職率低下にもつながります。
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積立不足を解消できる
企業型DCは掛金を拠出した時点で企業負担が確定するため、確定給付型年金制度のような積立不足のリスクがありません。毎月の拠出額が決まっており、財務計画が立てやすくなるでしょう。
確定給付型年金では、運用結果が悪化すると企業が追加拠出を求められる可能性があります。一方、企業型DCでは運用結果に責任を持つ必要はなく、予期しない負担が発生しないため、長期的な経営の安定につながります。
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企業が企業型DCを導入する注意点
企業型DCの導入にはさまざまなメリットがある一方で、注意すべき点もあります。主な注意点は、以下のとおりです。
- 従業員への投資教育が必要となる
- 既存制度の見直しで事務負担が発生する
導入前に注意点を理解し、適切な対策を講じましょう。
従業員への投資教育が必要となる
従業員が自己責任で運用する制度のため、継続的な投資教育が求められます。社内企画や外部委託などの手間・コストがかかる可能性があり、人事担当者の負担増加につながるでしょう。
従業員が制度を十分理解していないと、「会社に勧められて始めた結果、損失が発生した」などの不満やトラブルにつながるおそれがあります。従業員自身が運用するため、元本割れリスクがあることや60歳まで引き出せないことなどを丁寧に説明し、理解してもらうことが必要です。
定期的なセミナーや個別相談の機会を設けるなど、従業員が安心して運用できる環境を整えましょう。
既存制度の見直しで事務負担が発生する
退職金制度を導入・変更する際は、就業規則の記載事項が増え、見直しが必要です。また、従業員の加入・脱退時の手続きや、情報管理などの事務負担が増えます。
人事担当者が少ない中小企業では、日常業務と並行してこれらの事務作業を行うことが負担となる場合があります。業務フローの見直しや、システム導入による効率化を検討しましょう。
企業型DCの導入はサポート会社の利用がおすすめ

企業型DCの導入には、制度設計・書類作成・社内調整など、専門知識が必要な業務が多く含まれます。自社だけで完結しようとすると、膨大な時間や人的コストが必要です。
サポート会社を活用すれば、導入から運用まで一括支援が可能です。初めて導入する企業にとっては、手続きミスや申請遅延のリスクを減らせるという大きなメリットがあります。専門家のサポートを受けることで、スムーズかつ確実に企業型DCを導入できるでしょう。
株式会社マウンティンにお任せいただければ、加入者数に関係なく導入支援が可能なため、小規模企業でも安心です。また、豊富な運用商品から選べるため、従業員の多様なニーズに対応できます。
さらに、運営管理手数料を抑えられるため、コスト面での負担が軽減されます。導入前後のフォローが充実しているため、不明点やお悩みにも迅速に対応可能です。
企業型DCの導入事例
ここでは、実際に企業型DCを導入した企業の事例を紹介します。それぞれの企業が抱えていた課題や導入の決め手、導入後の変化を知ることで、導入のイメージがしやすくなるでしょう。
KANAU株式会社 様
企業型DCは仕組みが複雑なため、導入前には代表ご自身も制度内容に関する不安や疑問が多く、まずは制度内容を正しく理解することが課題でした。
導入の決め手となったのは、従業員が加入・非加入を選択できる方式である「選択制」を採用できた点でした。年齢や資産状況、お金に対する考え方が異なる従業員一人ひとりの状況に合わせて、柔軟に制度を利用できる点に魅力を感じていただけたようです。
株式会社マウンティンでは、導入前の細かな質問に一つひとつ丁寧に回答し、制度理解をサポートしています。企業型DCの導入時には従業員向けのオンライン説明会を実施し、制度の仕組みだけでなく、投資の基本的な考え方までわかりやすく説明しました。
説明会後には加入者が増加し、導入後も管理画面で加入状況や掛金内訳を確認できるなど、運用面の負担軽減につながっています。従業員の選択を尊重しながら福利厚生を充実させた好事例です。
株式会社渡辺住研 様
株式会社渡辺住研様では、従業員の老後資金対策として約17年間、災害積立金制度を運用していました。しかし、長期的に見た場合、定年後の生活資金としては十分とは言えない金額だったそうです。会社側としては、退職まで積立金を内部留保し続ける必要がある点も課題でした。
株式会社マウンティンから企業型DCの提案を受け、税制優遇を活用しながら長期運用で資産形成ができる点に魅力を感じていただけました。掛金を少額から始められるため、若手社員にも向いており、既存の積立制度より従業員の抵抗感が少なかったことも後押しとなったようです。会社が掛金を支払った時点で経費で計上することができ、将来的な内部留保リスクを軽減できる点も導入の決断につながったといいます。
導入までの約半年間、事務手続きや制度設計に関する疑問に対し、メールやオンライン打ち合わせを通じて丁寧にサポートいたしました。さらに、導入時には従業員への説明会を実施し、制度概要だけでなく、投資の必要性やライフプランニングまで踏み込んで説明をさせていただきました。導入後も投資勉強会を実施し、従業員一人ひとりに合った運用方針の検討を支援いたしました。
結果として、従業員の投資に対する不安が軽減され、初回で全従業員の約7割が制度に加入しました。従業員が自ら資産形成を考えるきっかけとなり、老後に向けた安心感につながっています。会社側にとっても、将来の資金負担を抑えつつ、福利厚生を充実させられる制度として定着しているそうです。
有限会社石原精工 様
有限会社石原精工様では、勤続10年を超える社員が増えるなか、社員に安心して長く働いてもらうための老後資金対策が課題となっていました。明確な退職金制度がなく、退職金制度を可視化したい点も大きな悩みだったといいます。
企業型DCが有効な退職金制度であることや、税金や社会保険料の削減効果が期待できることに魅力を感じていただけました。福利厚生の充実が採用面でもプラスに働くと理解でき、「これだ」と感じて導入を決断したそうです。
導入時には社員向け説明会を実施し、制度のメリット・デメリットや資産形成の重要性を丁寧に説明いたしました。導入後には投資教育の説明会を行い、スマホやタブレットでログイン方法や運用設定までサポートさせていただきました。
企業型DCに関心を持つ従業員が増え、「退職金が明確になった」「資産状況をいつでも確認できて便利」といった声も多く、制度導入の効果を実感しているそうです。従業員の意識変化が、企業型DC導入の大きな結果といえるでしょう。
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企業型DCの導入をご検討の際は、ぜひ株式会社マウンティンにご相談ください。貴社の福利厚生充実と従業員の資産形成をサポートいたします。